株式会社筑波学園ホテル ホテル日航つくば 副総支配人 兼 総務部長 関 博幸様 インタビュー
「おもてなし」の中にあるSDGsの精神
ホテル日航つくば様のホームページを拝見すると、2021年からのSDGsへの取り組みが掲載されています。
SDGsへのお取り組みを始められたきっかけがあれば教えてください。
2020年から、コロナ感染症が拡大しホテル業界は大きな打撃を受け、大変な危機感を感じていました。世の中の当たり前が当たり前でなくなり、これまでの延長線上では解決策を見いだせないと感じるほどの、先が見えない状況でした。
そんな中、社員の中から「SDGsに取り組みたい」という意見が上がり、2021年6月にSDGs推進委員会が発足しました。
ホテルとしてこれまで大切にしてきたこだわりや伝統についても、SDGsという観点で守っていくべきか、そうでないのかを議論し始めました。
「慣習というだけで継続していっては、私たち自身も地球環境も持続可能ではないのではないか?」こうした問題意識を持ち、SDGs推進委員会のメンバーは時には喧々諤々の議論を行ってきました。
コロナ禍は大きな出来事でしたが、もしこれまでのように忙しい日々が継続していたら、立ち止まってSDGsに目を向けたり、今のような取り組みを行ったりといったことはできなかったかもしれません。
これまでのSDGsへのお取組みを拝見しますと、地元の農園で廃棄となってしまう不揃いな野菜を活用したフードロス削減の取り組みやCO2排出ゼロのコンサートの開催など、ホテルならではの取り組みが多くあります。
こうしたアイデアはどこからヒントを得て、どのように実現されていらっしゃるのでしょうか?継続的に新しいことを生み出していかれるコツは何かありますか?
SDGs推進委員会のコアメンバーは7名、ほかに10名前後のサブメンバーがおり、毎週実施している会議に向けて各メンバーが情報収集して発表したり、勉強会を開催したりしています。
SDGsとの関連性があまり無いトピックスでも自由に話せる場として継続しています。
これまでSDGsの取り組みの幅が広がると同時に、深化してきた背景には、「知ること」とそれによって「気づくこと」がありました。
当ホテルは2023年6月10日に開業40周年を迎え、これを記念してSDGsの展示会を開催しました。展示会には異業種の企業・団体の他、地元の農家さんも参加下さり、規格外野菜の無料配布などを行いました。
農家さんとは茨城県フードロス削減プロジェクトの意見交換会からお付き合いが始まり、規格外野菜が大量に廃棄されている現実を目の当たりにして、見て見ぬ振りは出来ないという思いからレストランや宴会の料理に規格外野菜を活用するようになりました。
今では、茨城県フードロス削減プロジェクトを通じて複数の農園と規格外野菜の取引を行っています。
今、サステナブルなホテルステイを選ばれる方も多くなっているとお聞きします。ホテル日航つくばのお取組みに対するゲストの方からの反応はいかがでしょうか。
お客様から直接ご評価頂くことはあまりないのですが、ペットボトルやアメニティなどの使い捨てプラスチックを無くしたり、減らしたりする潮流は世界的なものなのでゲストの方もご理解頂いていると思います。
館内にマイボトル用給水機として「ウォータースタンド」を設置し、客室にペットボトル入りのお水を設置しないことについては、サービスを提供する側としてジレンマを感じることもあります。
マイボトルをお持ちの外国人のお客様は「ウォータースタンド」導入以前から多く、インバウンド需要の回復に伴いゲストの方の「ウォータースタンド」の利用が増加しています。
ホテルが環境への配慮を求められていることを、お客様に対して私たちはしっかり説明しご理解頂く責任があると考えています。
一方、SDGsに取り組んだことで気づかされたこともあります。
アメニティをご用意しない宿泊プランは多くのお客様にご支持頂くことができましたし、プラン開始以前から宿泊の際は「マイ歯ブラシ」をご持参頂いていたお客様が多かったことが分かりました。
2023年6月23日に、SDGsを実践する国内宿泊施設の国際認証「Sakura Quality An ESG Practice(通称:サクラクオリティグリーン)」において「4御衣黄ザクラ」を取得されています。評価されたSDGsのお取組みの事例をご紹介頂けますか。
4御衣黄ザクラ」とは、5段階評価のうち上から2段階目のホテルに与えられる評価で「Regenerative(顧客が増える程、地域環境をより良くする施設)」のカテゴリーに属します。
評価頂いた項目は多岐に渡りますが、「地元の生物多様性保全と持続可能な観光を目指した館内装飾」はその一例です。
筑波山系には「ツクバハコネサンショウウオ」という絶滅危惧種が生息しており、茨城県のレッドデータブックに掲載されています。
この迷路アートを本館1階ロビーに設置しています。ゲストの方は迷路を楽しんで頂いたり、壁画の前で写真を撮られたり思い思いに過ごして頂く中で、自然に生物多様性について考えて頂くきっかけづくりができればと考えています。
また、「地元の企業とのパートナーシップの機会及び自然、歴史、文化に根差した持続可能な商品の提供」という観点では「つくたび」という企画があります。
「つくたび」というネーミングの由来は「筑波の旅」の略でもありますが、「つくる旅」という言葉も掛け合わせています。1~2時間の距離の近場でつくばの魅力を伝えるほかに、ただ観光して頂くだけではない体験型の旅をご提案するものです。
つくば市は2017年12月に内閣総理大臣から構造改革特別区域計画として「つくばワイン・フルーツ酒特区」の認定を受けています。
今年の9月から11月は、全3回のワインの旅「ホテルソムリエ厳選!つくばワインでテロワールを愉しむ特別体験」を企画し、参加者の方にはブドウの搾りかすで草木染め体験をして頂いたり、剪定作業や収穫作業を愉しんで頂いたりするのと共に、つくばの多様なワインを楽しんで頂く内容となっています。
ホテルでソムリエがワインの話をするのは当たり前だと皆さん思われると思います。
「つくたび」では生産者さんのお話を聞かせて頂きます。
「今年は雨量が少なかったため、ブドウの生育には良い条件だった」といったお話を聞きながらワインを飲むことで、本当の意味で地域のこと(テロワール:ブドウ畑を取り巻く自然環境要因のこと)を知ることにつながります。また、気候変動や環境問題を自分事にして頂くことにもなると思います。
これまで多くのSDGsへのお取組みをされていますが、これからやっていかれたいことをお聞かせ頂けますでしょうか。
様々なステークホルダーの皆様と連携することで、1つのホテルでは解決できないことでも取り組めることがたくさんあると考えています。
2030年のSDGs達成のゴール年に向け今後はロードマップを策定し、進捗を開示していきたいと考えています。
ホテル業界でサステナビリティレポートを発行されている企業に学ばせて頂き、ライバル関係と目されることのあったホテル同士でも、SDGs達成という同じ目標の下で連携して参りたいです。
最後にホスピタリティやおもてなしを追求されているホテル様として、「変えないもの」をお聞かせ下さい。
ホテルとして「変えないもの」はやはり「おもてなし」の精神です。「おもてなし」は人と人とが互いに思いやる心や、人とのつながりから生まれるもので、SDGsの要素がたくさん含まれていると思います。
私たちは、地域や業種を超えて「地域のハブ」として、ホテルにしかできない新しいアクションを起こしてSDGs達成に貢献して参りたいと考えています。
ウォータースタンドについて
浄水型ウォーターサーバー ウォータースタンドは、いつでも安全安心な飲料水が使える利便性の高さと、運搬や使い捨て容器を必要としないエコな給水システムが支持され、子育て世帯を中心とした個人宅や、SDGs達成に取り組む法人、大学などに支持されています。
2021年7月には、「ウォータースタンド ガーディアン」は、赤ちゃんのミルク作りがラクにできること、それによりパパ・ママの心に余裕が生まれ、子育てを楽しむことに貢献できる製品であることが評価され「2021年度日本子育て支援大賞」を受賞しました。
未来の世代に向けたウォータースタンドの
取り組み
ウォータースタンドは、2020年2月にミッションとビジョンを新たに策定しました。当社は、暮らしに寄り添う製品の開発・提供と環境負荷軽減に貢献する事業経営を通じ、未来をつくる次世代育成に積極的に取り組んでいます。
ウォータースタンドのミッションとビジョン
ウォータースタンドは 未来の世代のために
より良い地球環境を引き継ぎます。
わたしたちは、2030年までに 日本の使い捨てプラスチックボトルを 30億本減らします。
ウォータースタンドは
マイボトルを携帯する新しい文化を創り
気候変動とプラスチックによる
環境問題に取り組みます。
ウォータースタンドへの
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