志摩市環境課 西井將人様 インタビュー
志摩市様では「ゼロカーボンシティしま」をコンセプトに掲げ、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロとされることを目指していらっしゃいます。
特に、「ゼロカーボンシティしま」へのお取組み宣言では、強い危機感を感じられていることが伝わります。
~2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロに~
※志摩市の宣言をPDFにてご覧いただけます。
自然豊かな志摩市だからこそ感じておられることをお聞かせ下さい。
志摩市は全域が伊勢志摩国立公園に含まれ、日本国内の国立公園の中でも最も定住人口が多く、歴史的にも豊かな自然と住民が共生している地域です。
こうした地域特性から、当市では海洋プラスチックごみ問題や気候変動といった課題について、パリ協定とSDGsが採択される2015年以前から危機感を抱いて対策を講じてきました。
しかし、市民を巻き込んだ具体的な行動となると海浜清掃などにとどまっていました。地球環境の現状を鑑みると、市民を巻き込んでの対策は待ったなしの状況にあると感じています。
地域住民や地元企業の方とどのような対話をされていらっしゃいますか?
これまでも地域住民や地元企業の方とも「何か行動しなければならない」という議論はありました。2021年4月から、ウォータースタンド株式会社(以下、WS社)との協定の下、給水スタンドの設置を拡大しマイボトルへの給水の呼びかけをスタートし「誰もが参加できる」、「分かりやすい」行動を具体的に示したことで、「やり方が分かった」と評価頂くようになりました。
誰もがアクセスできる水道水を使用する意味や、使い捨てプラスチックボトルの削減によって可能になる二酸化炭素の排出抑制量などを、WS社から伝えて頂いたことも専門的になりがちな行政側のメッセージを自分事として受け止めて頂くのに寄与しています。
地域住民や地元企業を巻き込んでいかれる際に工夫されていることがあれば教えてください。
対話を行う上でSNSでの発信を行うなど、外部環境の変化にともなって整ってきたツールは積極的に活用しています。
また、マイボトルに給水できる給水スタンドを設置したことが、伊勢志摩国立公園が全国で2番目にゼロカーボンパークとして登録されるに至った主な取り組みであることをお伝えしています。美しい公園を保持することは、住民や事業者の方にとってプラスになるだけでなく、観光業の発展など市外からの資源流入につながる可能性があり、様々な側面で地域の活性化に寄与します。令和4年度の環境省における重点施策でも「国⽴公園利用施設の脱炭素化推進⽀援事業」が重点施策となっており、こうした国を挙げての事業の具体的な取り組みの一つであるとご理解頂くことで、マイボトルへの給水が拡大していくと思います。
志摩市に来て頂くことで、世界規模の課題である気候変動や海洋プラスチック問題などへの気づきを得られる「行動変容につながるまち」を目指し、意識の浸透を図っていきたいと考えています。
日本は2050年ゼロカーボン達成に向け、ライフスタイルの大きな転換を迫られています。これらの施策が目指す大きな目標の中では小さな一歩に過ぎないと考えますが、弊社の「マイボトルへの給水」の呼びかけをご覧になってのご感想をお聞かせ下さい。
企業と行政の連携のあり方として、これまでは行政から働きかけて企業に行動を促すといったケースが多かったと思います。企業側からの働きかけが多くないなか、WS社からお声がけ頂きこうした取り組みを行っているというのは非常に革新的だと感じます。
マイボトルへの給水がゼロカーボンパーク認定のきっかけにもなったことを受けて、今後は全国の国立公園にこうした取り組みが波及するよう様々な仕組みづくりをしていきたいと考えています。
志摩市様のお取組みには企業からの賛同もお寄せ頂いているとお聞きしています。企業様よりどのようなお声を頂いていますか。
ご協力いただいた1社、有限会社志摩衛生社様(代表取締役:北山敏行様、清掃・廃棄物処理業)は、事業との関連から使い捨てプラスチックボトル削減をどのように周知するかを検討されていました。また、多くの方に会社の事務所へご来訪頂き、環境問題について伝えたいという思いもお持ちでした。
ウォータースタンドを導入頂いたところ、プラスチックボトルごみが減り社内で好評だっただけでなく「社外に向けて給水を呼びかけたい」と給水スタンドが目立つようノボリを設置頂いたり、会社オリジナルのボトルを制作されたりといったお話を聞いています。環境問題について知ることと行動が一体となり、企業の思いをご理解頂く一助となっている様子がうかがえます。
また、もう一社「わたかの島」という離島に所在する福寿荘(代表取締役:木村圭仁朗様、ホテル業)では、離島にあるという立地から従前より海洋プラスチックごみ問題に関心が高く、宿泊者へマイボトルに給水頂いています。WEBサイトでも発信され、使い捨てプラスチックボトルを排出しないホテルの先駆けとして志摩市の取り組みを推進いただいています。
「シマシSDGsプラットフォーム」などを活用した企業の取り組み支援についてはどのようなご予定ですか?
「シマシSDGsプラットフォーム」はSDGs の達成や持続可能なまちづくりを目指し、志摩市とともにパートナーシップで取り組んでいただくパートナーの集い場です。企業等パートナー同士のつながりをサポートできるよう、それぞれの取り組みを見える化し、広く発信していきたいと考えています。
また、「志摩市未来創造プロジェクト」といって、地域課題の解決や本市発の新サービス、技術が創造されることを目的に、AIやICTなどの先端技術等を活用した地域課題の解決につながるようなプロジェクト及び新しいサービスを創造するプロジェクトを公募しています。このプロジェクトに選定された企業は、実証実験フィールドの提供などの支援を受けることができます。
このように地域課題の解決や脱炭素社会形成に向けて官民一体で取り組むことで、企業の誘致やイノベーションといった新たな動きにつなげていくことが、志摩市が長期的に目指すビジョンです。
関連サイト
ウォータースタンド株式会社が自治体と行う取り組み
ウォータースタンド株式会社は、使い捨てプラスチックボトル30億本の削減をミッションに掲げ、自治体と連携したさまざまな取り組みを実施しています。
公共施設への給水スポット設置
誰もが無料で給水できる「ウォータースタンド」の設置を拡大しています。
啓発活動
自治体と連携し、プラスチックごみ問題の深刻さやマイボトル利用のメリットについて、地域住民に知ってもらうための活動を行います。
マイボトル利用推進
マイボトル用給水機の利用を促し、ワンウェイプラスチック削減とマイボトルの普及を推進します。
住民の健康増進
マイボトル利用による水分補給は、地域住民の熱中症対策や健康増進にもつながります。
自治体との協定締結実績一覧
北海道・東北
関東
中部
近畿
中国・四国
九州・沖縄
※2024年10月現在
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